台湾が好きだ。
どのくらい好きかというと、Instagramのフォローアカウントの半分くらいが台湾旅行や台湾グルメに関するアカウントであるくらい、台湾が好きだ。『マツコの知らない世界』の台湾夜市の回は食い入るように視聴した。
食べ物もいい。小籠包はもちろん、胡椒餅もパイナップルケーキも、タピオカミルクティーもいい。
何よりあの混沌とした街の雰囲気がいい。日本人にとってはもはやノスタルジックであり、どこか浮世離れしたようなあの空気の中に身を投じたい。
こんなに台湾に心酔する私であるが、台湾に旅行した経験は一度しかない。たしか大学3年生の時だったように記憶している。ずいぶん昔のことすぎて、その旅行の記憶はあまりない。本当に、どこを巡って何をしたのかほとんど覚えていないのだ。もったいない。今や私の台湾に関する情報は、ほぼ書物やInstagramからの情報に塗り替えられてしまっている。
そんな私は日々、台湾の街の画像を眺めたり、台湾に関わる小説を読んだりしてお茶を濁している。今回はKALDIで発見した葱抓餅(チョンジュアピン)を自宅で焼いて、さらにお茶を濁そうというわけだ。
我、大間違。気付、食後。
これこれ〜! お祭りの屋台とかで買って食べた記憶あり〜! と思ったのも束の間。私は改めて目にしたパッケージにふと違和感を抱く。
葱抓餅(チョンジュアピン)……?
私がこの食べ物をイメージした時、頭に浮かぶ料理名は「葱油餅(ツォンヨウピン)」だ。え? 同じものなん?
気になったので調べてみたところ、葱抓餅は叩きながら作るので(←?)生地に空気が入る。生地に層があってパリパリに仕上がる。葱油餅はただ平べったいモチモチのお焼き。が、同じ料理を指すこともある。とのこと。
………………え? 意味がわからない。
で、さらに色々と調べてみたところ、焼く前の生地の作り方までは同じ。焼く際にヘラなどでつまむようにして生地の層をほぐして焼くのが葱抓餅。特にほぐさずに揚げ焼きっぽくするのが葱油餅らしい。
この情報を私は、実際に食った後、この記事を書く際に調べた。
私は大変なミスを犯していたのだ……! 結果、この料理に関する情報が混迷を辿ることになる……!
超硬的冷凍葱抓餅。我、不安。
このようにすでに形成・冷凍された生地が3枚入って398円。1枚130円ほどでなかなか手頃だ。
ちなみに現地の夜市で食べるとプレーンで30元ほどらしいので、現在のレート(2023年10月)で大体138円くらい。なぜか現地より安い。
これをこのままフライパンで焼いたりトースターで焼いたりするらしいのだが、あまりにもカチンコチンの板状になっているため「このまま焼いて本当に大丈夫なの?」と一抹の不安を感じた。
とりあえず、パッケージに書かれている通り、これをこのままフライパンに放り込んで焼いてみることに。
意外にも火の通りが良く、生地はすぐに柔らかに。これなら、カチカチに凍りすぎていて火が通らない、焼くのに時間がかかるという懸念は杞憂に終わりそうだ。
ちなみに、我が家のフライパンは焦げ付きやすくなってしまっているので、少し多めのごま油で調理した。
ぽい! 少し焼いただけでそれっぽい! この生地に浮き出ている層感が完全にそれっぽい! 裏返す前からすでにそれっぽい!
焼いている間に生地が部分的にぷくっと膨らむだけで、のちのパリッとした食感が想像できる。
出、出来〜〜〜! 超好吃〜〜〜!
焦げ目がついたらひっくり返して、また焦げ目がついたらもう一度ひっくり返して、ついに完成。
ちなみに「ついに」というほど時間はかかっていない。おそらく袋から取り出してここまで5分も経っていない。手軽なものだ。
実をいうと、私は以前、生地から手作りした経験がある。小麦粉をこねて、小ネギを細かく切り、生地に巻いて、その棒状のものをさらにカタツムリのように巻いて、上から均等に平べったくして……。とにかく手間がかかった記憶がある。しかし、悲しいかな、私の手作りはそこまで美味ではなかったのだ。夫と息子は「美味いね!」と言いながら、どっぷりとポン酢につけて食っていた。いや、そういう食い方じゃねえんだ、餃子じゃねえんだよと内心思っていたが、美味いと言うのだからそのままにしておいた。
皿に乗せていざ実食。そうそう、これをこのまま食べるんだよ。かぶりつくんだよ。ポン酢なんかつけずにさ!
手で豪快に割くと、層が音を立てて割れる。本当に焦げ目がつくように数分焼いただけなのだけれど、しっかり表面の水分が飛んでパリッとしている〜。味も、何もつけなくても美味い。むしろ何もつけずにそのままがいい。
モチモチ感はあまりないかな。サクサクしていて、お食事パイ的な感覚。
台湾啤酒希望〜(台湾ビール飲みて〜)。
脳内に士林の夜の喧騒が広がる〜と言いたいところだが、なにせ台湾旅行の記憶は曖昧だし、私の脳内にはすでに“生きた”夜市の風景がない。隣で黙々と食べ進める息子に対して「美味いね」と、いつも通りの言葉をかけるに留まった。
ちなみに、息子は9歳児ながらかなり食が太いタイプなので、おやつとして1枚をペロッと平らげていたが、子どもだと丸々1枚の完食は難しい場合もありそうだ。カットして出すのがいいかもしれない。
本場的定番、味変方法
台湾では間に卵やチーズを挟んで食べることも多い。ということで、
こうやって、生地の片側になんとなくチーズを乗せて、
たたむ。たたんだことにより、なんだか本場感がアップ。
実際、このようにたたんだほうが手に持って食べやすい。丸々1枚食べようという場合はこの形状にしたほうが良さそうだ。
しかし、残念ながら息子としては「何もかけない普通のやつのほうが美味しい」とのことだった。
で、ここからだ。私が作った手順を振り返ってみようと思う。
冷凍庫から生地を取り出し、少し多めの油で表裏を焼く。私が行った工程はこれだけ。葱抓餅が葱抓餅であるがゆえんの「つまむ」という作業を一切挟んでいない。多めの油でただ焼いただけだ。
そう、“多めの油”で。
え? 工程ミスってない? 私が食ったのって葱油餅じゃない? でも食感は紛れもなく葱抓餅を表現したそれそのものだったけど……?
……え? 私、一体何を食ったの?
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